人生で一度は行ってみたいと誰もが思い浮かべる世界遺産。
「マチュピチュ」や「ピラミッド」、「グランドキャニオン」など、各国にいろんな世界遺産が存在します。
神秘的で壮大な建築物、何ともいえない感情が沸き上がる絶景を見れば、否応にもなく今までの世界観が変わることでしょう。
ですがここで考えてもらいたい点が一つ。
何も海外に目を向けなくても日本には全国25か所もの世界遺産が存在します。
わざわざ海外に出向かなくても日本にいながら世界遺産に触れることができるんですよ。
実際、日本にある世界遺産を見たことがある人はどのくらいいるのでしょうか?
世界遺産と聞くと海外に目を向けがちですが、日本人ならやはり日本にある世界遺産にこそ触れていただきたいです。
そこで以下より、日本にある世界遺産を中国地方・九州エリアに絞って6か所紹介したいと思います。
国内の世界遺産なら長期で休みを取らなくても出向くことができるため、気になる人はぜひ一度足を運んでみてください。
原爆ドーム
1996年に世界遺産登録された原爆ドームは広島県でもっとも有名な観光スポット。
原爆ドームの歴史は1915年までさかのぼります。
もともとは「広島県物産陳列館」と呼ばれており、チェコ人の建築家ヤン・レツルが設計しました。
主に広島県内の物産販売や展示、美術展や博覧会の会場として利用され、その後1933年に「広島県産業奨励館」と改称され、1944年からは官公庁等の事務所として使用されます。
構造は全体3階で一部鉄骨を使用したレンガ造り、正面中央部分に5階建の階段室があり、その上に銅板の楕円形ドームが載せられている特殊構造。
当時、このような斬新な建物はとても珍しく、広島の名所として数えられていました。
そして第二次世界大戦中の1945年8月6日、米軍の爆撃機により人類史上初の原子爆弾が広島市街地の中心部に投下されます。
広島県産業奨励館は爆心地から約160mの距離で被爆し、激しい爆風と熱線を浴びて燃えあがりましたが、奇跡的に原爆ドーム頂上の鉄骨ドーム部分や厚い側面の壁は倒壊を免れました。
戦後、広島県産業奨励館の残骸は頂上のむきだしとなった円盤鉄骨の形から、いつしか市民から「原爆ドーム」と呼ばれるようになったのです。
1993年6月に市民団体からなる「原爆ドームの世界遺産化をすすめる会」が結成され、全国的な署名運動が始まったのは記憶に新しいですよね?
最終的には165万余りものの署名が集まり、国はユネスコの世界遺産委員会に推薦し、1996年12月に原爆ドームは世界遺産登録されました。
JR広島駅から路面電車で約20分、原爆ドーム前を下車。
厳島神社
1996年に世界遺産登録された厳島神社は広島県の厳島(通称:宮島)にあります。
厳島神社は潮の満ち引きがある海上に建てられた寝殿造りの神社です。
自然と調和し、神秘的で美しい建築は訪れる人を魅了してやみません。
厳島神社の歴史は593年にさかのぼり、今のような海上社殿がつくられたのは1168年(平安時代後期)といわれています。
宮島全体は神と捉えられていたため、ご神体を傷つけないようにと潮の満ち引きがある海上に建てられました。
厳島神社を入る際は入口から入り東回廊を通り客神社で参拝、中心部の本殿・拝殿・祓殿で参拝した後は西回廊を通り出口へとむかいます。
満潮時の海に浮かび上がる大鳥居と社殿の姿は美しく、干潮時は大鳥居をくぐることができ、主柱の太さはまさに圧巻の一言。
厳島神社が世界遺産登録された経緯には、建築景観・創造的な才能が生んだ傑作・当初の姿を現代まで残している点などが評価されました。
また国宝や重要文化財に指定される箇所もあるため、非常に貴重な建造物です。
JR宮島口駅からフェリーで10分、宮島桟橋から徒歩で約12分。
神宿る島-宗像・沖ノ島-
2017年に世界遺産登録された宗像・沖ノ島は福岡県にあります。
沖ノ島は九州本土から約60km離れた島であり、4~9世紀にかけて国家の平和を願う祭祀が行われていました。
「神宿る島」と呼ばれる沖ノ島は島全体が信仰の対象であることから、厳しい入島制限を設けることで島内にある遺跡を現代まで守ってきました。
遺跡では神への奉献品や貴重な舶載品が見つかっており、発見された約8万点全てが国宝に指定されています。
世界遺産登録後の2018年からは島の保護の観点から、神職・認められた研究者や社殿修理者のみしか入れません。
沖ノ島の他に島の近くにある3つの岩礁(天狗岩・御門柱・小屋島)、本土から約11kmに浮かぶ大島にある宗像大社中津宮・宗像大社沖津宮遙拝所、本土にある宗像大社辺津宮と新原・奴山古墳群の計7つも世界遺産登録されています。
沖ノ島以外は一般の人でも行くことができるので参拝が可能。
大島にある宗像大社沖津宮遙拝所は海岸に面した斜面にあり美しい景観が広がります。
晴れた日には水平線上に浮かぶ沖ノ島が見られるため、天気の良い日を狙って行くのがおすすめです。
JR東郷駅からバスで12分。
JR福間駅から車で20分。
JR東郷駅or赤間駅からタクシーで神湊港に行き、船で大島港まで移動。
潜伏キリシタン関連-長崎・天草地方-
2018年に世界遺産登録された潜伏キリシタン関連遺産は長崎県と熊本県にある日本有数の観光スポット。
潜伏キリシタンとはキリスト教禁教期(17~19世紀頃)に、普通の生活をしながらひそかにキリスト教の信仰を続けようとしていたキリシタンのことです。
また19世紀後半にキリスト教が解禁状態になってもカトリックに戻らず、自分たちが受け継いできた潜伏信仰をそのまま続けた人々のことを隠れキリシタンと呼びます。
潜伏キリシタン達は長崎県と熊本県(天草地方)に集落を作りキリスト教を信仰していました。
今回、世界遺産登録された構成資産は12エリアあり、長崎県の五島列島では久賀島集落・奈留鳥の江上集落・頭ヶ島の集落・野崎島の集落跡、平戸市では中江ノ島・春日集落と安満岳、佐世保市では黒島の集落、長崎市では外海の出津集落・外海の大野集落・大浦天主堂、南島原市では原城跡、熊本県の天草市では天草の﨑津集落があります。
各集落にある教会は神秘的で心が奪われるほど美しい建築物です。
五島列島より福江港から木口汽船で田ノ浦港へ行き、タクシーか車で移動。
五島列島より福江港から五島旅客船で奈留港へ行き、タクシーか車で移動。
佐世保港から船で有川港へ行き、タクシーか車で25分。
小値賀港から小値賀町営船で野崎港へ行き、徒歩20分。
JR佐世保駅~松浦鉄道「たびら平戸口」~西肥バス「平戸新町」~生月バス「白石」で下車し徒歩30分。
相浦港からフェリーで黒島港へ行き、レンタサイクルで移動。
JR長崎駅から車で40分。
JR長崎駅から車で50分。
JR長崎駅から長崎バスで大浦天主堂下へ下車。
島鉄バス「原城前バス停」より徒歩15分。
本渡バスセンターより産交バスで一町田中央で下車し、一町田中央より産交バスで下田温泉行きに乗り換え、﨑津教会入口で下車。
奄美大島、徳之島
2021年に世界遺産登録された奄美大島と徳之島は鹿児島県にあります。
鹿児島本土と沖縄本島の中間にある奄美大島は、日本の離島の中では佐渡島に次ぐ2番目の大きさです。
自然あふれる島内の多くの部分が森という特徴をもち、周辺の海には約220種類の美しいサンゴが生息しています。
また島唄や八月踊りなどの伝統行事や伝統産業の本場奄美大島紬などが有名です。
奄美大島の南西にある徳之島は石灰岩性のカルトス地形が発達しており、天然で日本最大級の海底洞窟があります。
常緑広葉樹が優占する森林・石灰岩の台地・ゴマ畑やサトウキビ畑・ムシロ瀬など、徳之島にはさまざまな自然が広がり人々の心を魅了しています。
徳之島では約500年の歴史がある闘牛が有名で島全体で大会が開かれており熱狂に包まれます。
鹿児島空港から飛行機で1時間。
鹿児島空港から飛行機で1時間。
屋久島
1993年に世界遺産登録された屋久島は鹿児島県にあります。
屋久島は鹿児島県佐多岬(本土最南端)の南南西約60kmの海上にあり、人口は約13000人です。
島内は湿潤気候下の高山として特異な環境下で、亜熱帯植物(ガジュマル・アコウ)・暖帯(タブ、シイ)・温帯(モミ・ヤマグルマ)などがあり、他にも固有植物や北限・南限植物が自生しています。
特に樹齢数千年に及ぶヤクスギは世界的に貴重な天然林として有名です。
また危惧種のアカヒゲやアカコッコも生息しています。
屋久島は白神山地とともに日本初の世界遺産として正式に登録され、ヤクスギを含む生態系の得異な景観が美しいことが大きく評価されました。
鹿児島空港から飛行機で40分。
最後に
以上、中国地方・九州エリアにある世界遺産を6か所紹介してきました。
世界遺産の歴史や観光ポイントなども合わせて解説してきたので、大まかなイメージを思い浮かべることができたのではないでしょうか?
とはいえイメージと実際に触れる・体験するのとでは天と地ほどの差があります。
せっかく日本にも世界遺産があるのですから、旅行先に世界遺産のある地域をピックアップするのも一つ。
また世界遺産を目的とするなら一人旅もしやすいはずです。
人生の中で一度は訪れたい世界遺産。
せひ今後の旅行先として検討してみてください。
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